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Zoo and Wildlife Medicine 36(3) Abstracts; Japanese

 

最近捕獲されたアメリカカワウソ(Lontra canadensis)における負傷重症度の評価と血液性状値および血漿生化学値

Evaluation of Injury Severity and Hematologic and Plasma Biochemistry Values for Recently Captured North American River Otters (Lontra canadensis)

 

Kevin Kimber, D.V.M., M.S., and George V. Kollias, II, D.V.M., Ph.D., Dipl. A.C.Z.M.

 

371~384ページ

 

要旨 再導入計画の一環として、ニューヨーク州東部で最近捕獲された新北区の野生カワウソ(Lontra canadensis)から血液を採取・分析し、その個体群の血液性状値および血漿生化学値の基準値を定め、またそれらの値が罠による負傷の状態を有意に予測できるかを調べた。身体検査に基づき、各個体を、負傷なし、中程度の負傷、および重度の負傷に分類した。臨床病理パラメータを、雌雄間、齢級間、および異なる負傷程度の間で比較した。未負傷個体と負傷個体の間で各パラメータ値が変化する確率の増加は、ロジスティック回帰を用いて求めた。血液性状値および血漿生化学値の基準値は、動物園あるいは他の再導入計画の飼育カワウソについて公表されている値と有意差は見られなかった。血漿アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値は、捕獲から採血までの時間が短くなるほど上昇した。本研究では、労作性筋障害に一致する臨床症状を示す個体が見られ、基準値の算定が影響を受けたと思われる。これらの結果は、最近捕獲されたカワウソ個体群における血液性状値および血漿生化学値は、一般に捕獲関連の負傷に対する良い予測指標ではないことを示唆している。これは、身体検査時にはまだその疾病状態が明らかではないため、あるいはこれらの値の変化が捕獲関連の負傷とは関係のない要因によるものであるからかもしれない。

 

キーワード カワウソ(river otter)、Lontra cancadensis、生化学(biochemistry)、血液学(hematology)、再導入(reintroduction)、臨床病理学(clinical pathology

 

 

野生ハシグロオオハム(Gavia immer)の成鳥と幼鳥における血液および生理関連基準値

Hematologic and Physiologic Reference Ranges for Free-ranging Adult and Young Common Loons (Gavia immer)

 

Holly J. Haefele, D.V.M., Inga Sidor D.V.M., David C. Evers, Ph.D., Darcy E. Hoyt, D.V.M., and Mark A. Pokras, D.V.M.

 

385~390ページ

 

要旨: 北米南部分布域の各地で、野生ハシグロオオハム(Gavia immer)を捕獲した。ニューイングランド、カナダ南東部、ケベック中南部、および五大湖北部の異なる4つの地域の成鳥と幼鳥から血液学的および生理学的データを収集し、それらの基準値を定めた。成鳥のボディーマスおよび血中グルコース濃度の平均は、地域によって異なっていた。幼鳥は成鳥よりもPCVおよび血液全固形分が低く、また、心拍数は速く、血中グルコース濃度は高かった。平均ボディーマスは一貫して雄が雌を上回ったが、血液学的および生理学的基準値の参照範囲に有意な性差は見られなかった。ハシグロオオハムでは、その血液学的・生理学的基準値に地域差および年齢差が見られ、それらの数値の評価にあたってはその点を考慮する必要がある。

 

キーワード: ハシグロオオハム(common loon)、Gavia immer、血液学(hematology)、基準値(reference range

 

 

オーシスト投与したカナダヅル(Grus canadensis)における抗コクシジウム薬の効果

Efficacy of Selected Coccidiostats in Sandhill Cranes (Grus canadensis) Following Challenge

 

James W. Carpenter, M.S., D.V.M., Dipl. A.C.Z.M., Meliton N. Novilla, D.V.M., Ph.D., Dipl. A.C.V.P., and Jeff S. Hatfield, Ph.D.

 

391~400ページ

 

要旨: アイメリア複数種のオーシスト混合の投与により感染させたカナダヅル(Grus canadensis)において、アンプロリウム、クラズリル、およびモネンシンの抗コクシジウム効果を調べた。1日齢の雛4羽を1グループとして5群を設け、それぞれ抗コクシジウム薬なし、アンプロリウム2.2ppm、クラズリル1.1ppm、クラズリル5.5ppm、モネンシン99ppm含有のクランブルを与えて飼育した。2週間の飼料による投薬後に、各群の鳥に保存して発胞させたアイメリア複数種のオーシスト25×103個を経口投与し、更に3週間観察を継続した。実験期間中、第6群として投薬および感染を行わない雛4羽からなるコントロール群を設けた。播種性内臓コクシジウウム症に一致する臨床症状および病変が、オーシスト投与したコントロール個体およびアンプロリウムおよびクラズリル投与個体の全てで見られた。これらの群の雛は、オーシスト投与後910日後で死亡した。一方、モネンシン投与群では1個体のみが播種性内臓コクシジウムの臨床症状を示し、オーシスト投与後13日で死亡した。この個体と無症状の個体を実験終了後に剖検に供したが、見られた播種性内臓コクシジウムの肉眼的および顕微鏡的病変はより軽度であった。オーシスト投与後に生き残った3羽のモネンシン投与群のうち2羽は、オーシスト投与後1118日に50500個のコクシジウムのオーシストを排泄したが、実験終了時には排泄は見られなかった。使用した抗コクシジウム薬のうち飼料中濃度99ppmのモネンシンのみが、カナダヅルにおいて試験的に誘発した播種性内臓コクシジウム症に対する予防効果を有した。

 

キーワード: カナダヅル(sandhill crane)、Grus canadensis、コクシジウム症(coccidiosis)、抗コクシジウム薬(coccidiostat)、アンプロリウム(amprolium)、クラズリル(clasuril)、モネンシン(monensin

 

 

チータ(Acinonyx jubatus)の胃炎治療の効果および長期治療成績

Efficacy and Long Term Outcome of Gastritis Therapy in Cheetahs (Acinonyx jubatus)

 

Scott B. Citino, D.V.M., Dipl. A.C.Z.M. and Linda Munson, D.V.M., Ph.D., Dipl. A.C.V.P.

 

401~416ページ

 

要旨: チータ(Acinonyx jubatus)においてリンパ形質細胞性胃炎治療法の効果および長期的成績の評価を行うため、プロスペクティブ臨床試験を実施した。実験では、32頭のチータ(雄19頭、雌13頭)において胃炎およびヘリコバクター(Helicobacter)のコロニー形成の軽減を目的とした抗生物質および抗炎症薬による11種の治療プロトコールの評価を行い、胃生検を組織学的に評価して病状の経過をモニタリングした。全てのチータは治療1週間前までに生検を行い、治療後1ヵ月以内に再度生検を実施した。殆どの個体は、6ヶ月以内に2種類目の治療プロトコールに供された。実験期間中、各個体は13種類の治療を受けた。本実験後、病状を評価するため、各チータについて死亡するまで、または他施設へ移動するまで毎年生検を実施した。実験およびその後の追跡期間は10年に及んだ。実験開始時には、全32頭がある程度の胃炎を示し、また26頭(81%)にヘリコバクターのコロニー形成が見られた。炎症性病変は、治療あるいはヘリコバクターの存在に関わらず悪化していた。ランソプラゾール/クラリスロマイシン/アモキシシリン投与群で、コントロール群と比較して炎症の短期間の軽減が見られた他は、治療が炎症状態の変化に明らかな効果を与えることはなかった。プレドニゾンは胃の炎症に効果はなかった。全体として、ヘリコバクターのコロニーが見られたチータの65%が治療によって、当初、組織学的にヘリコバクターが証明されなくなり、オメプラゾール/クラリスロマイシン/アモキシシリンあるいはテトラサイクリン/メトロニダゾール/ペプトビスモルによる30日間の治療を受けた個体の100%で、短期間のヘリコバクターの根絶が見られた。本実験の治療個体の長期間追跡したところ、これらの治療は生涯にわたって継続する胃炎や各チータにかかるヘリコバクターの負荷に対しては殆ど効果がないことが分かったが、胃炎やヘリコバクターを短期間軽減した治療法もいくつか見られた。これらの結果から、チータではヘリコバクターが単独で胃炎を引き起こしているのではないことが証明され、顕著な臨床症状(頻繁の嘔吐/吐出、体重減少など)が見られない限り、抗生物質による治療は支持されるものではない。

 

キーワード: チータ(cheetah)、Acinonyx jubatus、胃炎(gastritis)、ヘリコバクター(Helicobacter)、治療(treatment

 

 

飼育アフリカライオン(Panthera leo)成獣の血中チアミン値

Blood Thiamine Values in Captive Adult African Lions (Panthera leo)

 

John P. Hoover, M.S., D.V.M., Dipl. A.B.V.P., Dipl. A.C.V.I.M and Cynthia L. DiGesualdo, D.V.M.

 

417~421ページ

 

要旨: 本研究では、北米の全米動物園水族館協会に属する10動物園において、栄養上充分と見なされる餌で飼育されている22頭のアフリカライオン(Panthera leo)成獣から採血し、ヘパリン処理した全血を使用した。血中チアミン値は、標準的な微生物学的アッセイを用いて推定した。大きく外れた1数値を除外して求めた血中チアミン値(平均±標準偏差)は249.3±43.5 nmol/lで、その範囲は160350 nmol/lであった。平均血中チアミン値に雌雄間、および10歳未満と10歳以上の個体間で差は見られなかった(P> 0.05)。この範囲(160350 nmol/l)は、現在、北米の動物園で給餌されている飼育アフリカライオン成獣において、予想される血中チアミン値の範囲の妥当に推定しているものである。

 

キーワード: アフリカライオン(African lion)、Panthera leo、チアミン(thiamine)、微生物学的アッセイ(microbiological assay

 

 

産卵前のキジオライチョウ(Centrocercus urophasianus)における血液性状および血漿生化学の正常値と雛の生存に与える影響

Normal Hematologic and Biochemical Values for Pre-laying Greater Sage-grouse (Centrocercus urophasianus) and Their Influence on Chick Survival

 

Mike R. Dunbar, M.S., D.V.M, Michael A. Gregg, M.S., John A. Crawford, Ph.D., Mark R. Giordano, M.S., and Susan J. Tornquist, D.V.M., Ph.D., D.A.C.V.P.

 

422~429ページ

 

要旨: その分布域全域でキジオライチョウ(Centrocercus urophasianus)の生産力低下と個体数減少が見られることから、栄養がキジオライチョウの個体群にどのように影響するかについてさらに理解する必要がある。19992001年の3月から4月にかけて、米国のネバダ北西部からオレゴン南東部かけてのある地域で、産卵前の野生キジオライチョウの雌158羽(成鳥73羽、185羽)から血液を採取した。血液検体は、キジオライチョウの正常血液関連値を確立するために評価を行い、また、血液パラメータが、栄養指標として、雌が81日までに最低1羽の雛を育てられるかの予測に役立つかを検討した。ロジスティック回帰の結果から、分析した6パラメータのうち、グルコース、血漿総蛋白、およびカルシウム:リン比の3パラメータが、雌が晩夏まで1羽以上の雛を育てる確率に影響を与えることが示された。標準化した推定値をランク付けしたところ、グルコースと血漿総蛋白が、雌が雛を無事育てる確率に最も大きな影響を与えることが明らかになった。グルコースあるいは血漿蛋白が1単位(それぞれ1 mg/dl0.1 g/dl)増加すれば、最低1羽の雛が81日まで生存すると予想される確率がそれぞれ4%あるいは113%増加することがオッズ比から示された。また、カルシウム:リン比のオッズ比から、このパラメータ値が1単位増加(例えば3:1から4:1)すれば81日まで最低1羽の雛が生存すると予想される確率が70%低下することが明らかとなった。これらの分析に基づけば、栄養指標としての血液パラメータ値のいくつか、特にグルコース、血漿総蛋白、およびカルシウム:リン比は、キジオライチョウの繁殖成功率の予想に上手く利用できる。これらのパラメータは産卵前の雌の栄養状態の指標となるだけでなく、生息地の栄養的な質にも関係しているかもしれず、従って本種のマネジメントにも重要な意義を持つものである。

 

キーワード: Centrocercus urophasianus、血液学(hematology)、栄養学(nutrition)、キジオライチョウ(sage-grouse)、血清(serum

 

 

飼育ニシローランドゴリラ(Gorilla gorilla gorilla)の眼科検査

Ophthalmic Examination of the Captive Western Lowland Gorilla (Gorilla gorilla gorilla)

 

David Liang, M.D., Thomas P. Alvarado, D.V.M., Deniz Oral, M.D., Jose M. Vargas, M.D., Melissa M Denena, M.S., and James P. McCulley, M.D.

 

430~433ページ

 

要旨: 本研究では、飼育ニシローランドゴリラ(Gorilla gorilla gorilla)の眼を人と比較検討するために検査を実施した。全身麻酔下でのニシローランドゴリラ(n = 5)の両眼検査は機会がある時に実施し、細隙灯生体顕微鏡検査、散瞳による眼底検査、毛様体筋麻痺薬を用いた網膜鏡検査、シェッツ眼圧測定、角膜径および角膜厚の測定、AスキャンおよびBスキャン超音波検査、角膜曲率測定、眼瞼縁および眼球結膜からの培養がそれに含まれた。毛様体筋麻痺薬を用いた網膜鏡検査による等値球面度数屈折誤差の平均は1.20±0.59ジオプターであった。また、シュッツ眼圧測定による平均眼内圧は12.0±4.3 mmHgであった。視神経頭円板/陥凹比は0.42±0.11、平均水平角膜径は13.4±0.8 mm、平均垂直角膜径は12.7±0.8 mmであった。超音波パキメーターによる平均中心角膜厚は489±52μmdAスキャンによる平均眼軸長は22.75±0.71 mmAスキャンによる平均水晶体厚は4.23±0.34 mmAスキャンによる平均前眼房深は4.00±0.26 mm、および角膜曲率測定器の読みは44.38±1.64ジオプターであった。眼瞼縁および眼球結膜からの培養では、Candida sp.n = 5)、Staphylococcus aureusn = 4)、Staphylococcus epidermidisn = 3)、Staphylococcus saccharolyticusn = 3)、およびMicrococcus sp.n = 3)が分離された。本研究は、ニシローランドゴリラと人の眼に重要な類似点があることを示唆している。この類似により、人の眼外科に使用される診断法や、技術、また白内障による水晶体摘出や人工水晶体埋め込みなどに使用される人用の器具を、上手くゴリラに利用できるかもしれない。

 

キーワード: 比較解剖学(comparative anatomy)、眼(eyes)、ゴリラ(gorilla)、眼科検査(ophthalmic examination

 

 

アンデスフラミンゴ(Phoenicoparrus andinus)の血清生化学: 天然飼料と人工飼料の比較

Serum Biochemistry in Andean Flamingos (Phoenicoparrus andinus): Natural versus Artificial Diet

 

M. Cecilia Norambuena L.V., M. S., and Mario Parada, L.B.

 

434~439ページ

 

要旨: 4群のアンデスフラミンゴ(Phoenicoparrus andinus)の雛における10種の臨床病理関連値の研究を実施し、チリでの人工給餌プログラムの評価を行った。3群(20002001、および2002群)には、それぞれ栄養素の含有量が異なるコントロール飼料を与えた。野生アンデスフラミンゴの雛による第4群を、コントロール群とした。2002群に使用した栄養管理技術により、野生雛と同様の総蛋白、グロブリン、アルブミン、コレステロール、尿素、リン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、クレアチニン、およびカルシウムの各値を得た。さらに、2002群の雛の最終体重、健康状態、および羽衣は、現地の気候状態および遊動活動に充分対応できると見なされた。得られた結果は、参考基準値として有用であり、また本種の保全管理および獣医学的ケアの改善にも寄与すると思われる。

 

キーワード: アンデスフラミンゴ(Andean flamingo)、生化学(biochemistry)、血液学(hematology)、Phoenicoparrus andinus、栄養学(nutrition

 

 

グリーンランド東部の野生ホッキョクグマ(Ursus maritimus)の肝におけるレチノール結合蛋白(RBP)の免疫組織化学的研究

An Immunohistochemical Study of Retinol-binding Protein (RPB) in Livers of Free-living Polar Bears (Ursus maritimus) from East Greenland

 

Annabelle Heier, D.V.M., Christian Sonne, D.V.M., M.V.Sc., Andrea Gröne, D.V.M., Dipl. A.C.V.P., Dipl. E.C.V.P., Pall S. Leifsson, D.V.M., Ph.D., Rune Dietz, M.Sc., Erik W. Born, M.Sc., and Luca N. Bacciarini, D.V.M., Dipl. E.C.V.P.

 

440~446ページ

 

要旨: 1999年から2002年にかけて、グリーンランド東部のスコアズビー湾自治体において114頭の野生ホッキョクグマ(Ursus maritimus)から検体を採取し、有機塩素系化合物濃度および潜在的な組織病理学的変化を調べた。16頭の雌の肝は組織病理学的な評価を行い、また肝レチノール結合蛋白について免疫組織化学的に分析を行った。レチノール結合蛋白は、ホッキョクグマにとって重要なビタミンA代謝物であるレチノールの主要な輸送蛋白である。肝の組織病理学的評価では、軽度の病理学的変化が見られたのみだった。肝には、リンパ球またリンパ組織球の小規模な浸潤がみられた。数例で、小さな脂肪肉芽腫、軽度の門脈周囲性線維症、および胆管増殖が見られた。野生ホッキョクグマ肝組織のレチノール結合蛋白の免疫組織化学的検査では、その染色強度に、年齢、季節(絶食期および非絶食期)あるいは授乳状況など多くの基準による明らかな差は見られなかった。染色部は細胞質に点状に拡散し、個体間で殆ど差は見られなかった。肉眼的変化および重度の組織学的肝病変が存在しなかったため、これらのホッキョクグマは健康と見なされた。野生ホッキョクグマの肝細胞に見られた細胞質レチノール結合蛋白が拡散した染色状態は、以前に飼育個体で得られた顕著な顆粒と低い染色強度を示した染色状態とは大きく異なるものであった。

 

キーワード: ホッキョクグマ(polar bear)、Ursus maritimus、肝(liver)、レチノール結合蛋白(retinol-binding protein)、ビタミンAvitamin A)、免疫組織化学(immunohistochemistry

 

 

ブラジルの飼育野生ネコ科動物における猫ヘルペスウイルス1型に対する中和抗体

Neutralizing Antibodies against Feline Herpesvirus Type 1 in Captive Wild Felids of Brazil

 

Helena Beatriz de Carvalho Ruthner Batista, D.V.M., Franco Kindlein Vicentini, D.V.M, Ana Cláudia Franco, M.Sc., Ph.D., Fernando Rosado Spilki, D.V.M, M.Sc., Jean Carlos Ramos Silva, D.V.M, Cristina Harumi Adania, D.V.M., M.Sc., and Paulo Michel Roehe, M.Sc., Ph.D.

 

447~450ページ

 

要旨: 猫ヘルペスウイルス1型はイエネコに感染し、主に上部気道の疾病を引き起こす。本感染は、ヨーロッパからアジア、北米およびアフリカの飼育下および野生下のネコ科野生種で報告があるが、ブラジルの野生ネコ科動物での発生についての情報はない。本研究では、ブラジルの飼育野生ネコ科動物6種(Leopardus tigrinusLeopardus wiediiHerpailurus yaguarondiPuma concolorLeopardus pardalis、およびPanthera onca)から得た血清250検体において、猫ヘルペスウイルス1型に対する中和抗体を検査した。陽性を示した血清は、L. tigrinusの検体の72%L. wiedii15%L. pardalis6%H. yaguarondi8%P. concolor18%P. onca14%であった。後者5種に見られた比較的低い血清陽性率と低い抗体力価は、それらの動物では猫ヘルペスウイルス1型が大規模には広がっていないことを示唆している。しかしながら、飼育野生ネコ科動物におけるウイルスの伝播および本疾病の発生を予防するには、動物園において、新規導入個体の検疫、血清学的スクリーニング、およびワクチン接種が推奨される。

 

キーワード: ブラジル(Brazil)、飼育野生種ネコ科動物(wild captive felids)、猫ヘルペスウイルス1型(feline herpesvirus type 1)、FHV-1、中和抗体(neutralization antibodies)、血清中和反応(serum neutralization

 

 

妊娠および出産中のシロサイ(Ceratotherium simum simum)における膣電気インピーダンスとホルモン状態の関係

The Relationship between Vaginal Electrical Impedance and Hormone Profiles During Pregnancy and Parturition of a White Rhinoceros (Ceratotherium simum simum)

 

Susan Bowers, M.S., Scott Gandy, M.S., Ken Paul, Lisa Woods, B.S., Denise D’Angelo, Carolyn Horton, Chris Tabaka, D.V.M., and Scott Willard, Ph.D.

 

451~456ページ

 

要旨: 本研究では、雌シロサイ(Ceratotherium simum simum)において出産予測に膣電気インピーダンスの利用を試み、また妊娠期間中の膣電気インピーダンスとホルモン状態の関係を明らかにした。膣電気インピーダンスの背後にある原理は、生殖ホルモンの変化に反応して、膣および子宮頸部の粘液のイオンバランスに変化が生じることにある。妊娠中期から出産まで(6ヶ月間)週に3回、膣電気インピーダンスを測定し糞便検体を採取した。糞便検体は抽出を行い、免疫反応性エストロゲン、プロゲステロン、およびコルチコイドをRIAによって測定した。膣電気インピーダンス値は出産前に低下せず、妊娠期間の最終40日間を通して一定であった。シロサイの糞中プロゲステロンは、出産17日前から前日で減少した一方で、エストロゲンは出産4ヶ月前から2ヵ月前で増加し、出産1ヶ月前にさらに増加が見られた。糞中コルチコイドは出産5ヶ月前に増加し、その後緩やかに減少し、出産3週間前までに再度上昇した。膣電気インピーダンスの減少は、出産168日前に見られ、4週間低レベルに留まった。この減少時に、雌は雄に対して攻撃的になり、乳の分泌が見られ始めた。糞中プロゲステロンおよびエストロゲンはこの期間中に変化しなかったが、行動変化と泌乳停止とともに膣電気インピーダンス値が正常に戻るにしたがって、糞中コルチコイドは増加した。要約すれば、膣電気インピーダンスを利用してシロサイの出産を予測することはできなかった。しかし、妊娠中には、膣電気インピーダンス値や雌の行動変化、出産前の泌乳、それに続く糞中コルチコイドの増加に示されるような変化が見られた。この生理学的変化の原因は明らかでないが、妊娠を脅かすものではなかった。

 

キーワード: Ceratotherium simum simum、ホルモン(hormone)、妊娠(pregnancy)、膣電気インピーダンス(vaginal electrical impedance)、シロサイ(white rhinoceros

 

 

経直腸超音波測定によるムフロン(Ovis gmelini musimon)の妊娠週齢の予測

Prediction of Gestational Age by Transrectal Ultrasonographic Measurments in the Mouflon (Ovis gmelini musimon)

 

J. Santiago-Moreno, D.M.V., A. González-Bulnes, D.M.V.,  A. Gómez-Brunet, D.B.s., A. Toledano-Díaz, D.B.s., and A. López-Sebastián, D.M.V.

 

457~462ページ

 

要旨: 一連の経直腸超音波検査でムフロン(Ovis gmelini musimon)の胎仔の様々な構造を測定し、妊娠日齢を決定した。データは発情の同期化後に妊娠した14頭の雌のムフロンから得た。妊娠25日から、胎仔体長および体躯径の推定を実施した。その後、胎仔の臓器および構造の識別が可能になった時点で、頭骨(全頭長、および大横径、眼窩径)、体躯(胸部径および椎骨幅)、および腹腔(胃および腎の縦軸長)に関するいくつかの測定値を得た。また、大腿骨長も測定した。胎仔の全測定値は胎仔日齢と相関(P<0.001)を示したが、日齢との最も高い相関(R2は最大で0.94)を示したパラメータは、全頭長、胸部径、および大横径であった。研究中に見られた単胎妊娠と双胎妊娠との間で有意な差は見られなかった。

 

キーワード: ムフロン(mouflon)、Ovis gmelini musimon妊娠診断(pregnancy diagnosis)、超音波胎仔計測(ultrasonic fetometry)、野生ヒツジ(wild sheep

 

 

ブラジル南東部の野生ヌマジカ(Blastocerus dichotomus)の血液学

Hematology of Free-living Marsh Deer (Blastocerus dichotomus) from Southeast Brazil

 

Matias Pablo Juan Szabó, D.V.M., Ph.D., Eliana Reiko Matushima, D.V.M., Ph.D., Márcio Botelho de Castro, D.V.M., Ph.D., Danilo Álvaro Santana, D.V.M., Cátia Dejuste de Paula,D.V.M., M.Sc., and José Maurício Barbanti Duarte, D.V.M., Ph.D.

 

463~469ページ

 

要旨: 本研究は、ブラジル南東部のパラナ川沿いに生息する野生ヌマジカ(Blastocerus dichotomus)個体群標本の血液学関連基準値を報告するものである。血液関連値は、雄、雌、および幼獣に分けて示すとともに、麻酔下および非麻酔下に分けて示した。麻酔せずに物理的手法で保定した個体では、赤血球指標および総白血球数が明らかに高かった。麻酔下での血液パラメータは、2点のみにおいて年齢および性別で僅かな差がみられた。幼獣は、雄成獣よりも赤血球数が明らかに多く、また雌成獣よりも血中総蛋白が明らかに低かった。これらの結果から、ヌマジカの血液関連基準値は、麻酔下あるいは物理的保定で得られた血液に対しての2通りの値を考慮しなければならない。

 

キーワード: 麻酔下の(anesthetized)、Blastocerus dichotomus野生の(free-living)、血液学(hematology)、ヌマジカ(marsh deer)、非麻酔の(non-anesthetized

 

 

ベルギーの2動物園で飼育されているシカ類における12ヶ月間にわたる消化管蠕虫調査

A 12-month Survey of Gastrointestinal Helminth Infections of Cervids Kept in Two Zoos in Belgium

 

Sharmie Johnson, D.V.M.

 

470~478ページ

 

要旨: 蠕虫寄生は飼育および野生シカ類において主要な健康問題である。本研究では、糞便中の虫卵検出パターンと消化管線虫と関連する臨床症状について、異なる飼養条件の2箇所で飼育されているシカ類9群において12ヶ月間調査した。1ヶ所は都市の動物園で、ダマジカ(Dama dama)、ニホンジカ(Dybrowski’s deer, Cervus Nippon dybowski)、プーズー(Pudu pudu)、およびトナカイ(Rangifer tarandus tarandus)において糞便虫卵数は期間を通して少なく、また寄生虫性胃腸炎の臨床症状は見られなかった。この動物園では、砂地の小さな飼育施設において毎日糞を取り除くことで、蠕虫寄生は予防されていると思われ、定期的な駆虫薬投与の実施は妥当でないとされた。2ヶ所目は野生動物公園で、アカシカ(Cervus elaphus hippelaphus)、エルク(Nelson’s elk, Cervus elaphus nelsoni)、シフゾウ(Elaphurus davivianus)、ヘラジカ(Alces alces alces)およびトナカイ(Rangifer tarandus tarandus)を飼育していた。線虫の虫卵はアカシカ、エルク、およびヘラジカで頻繁に見られたが、これらは大きな草の生えた囲いに飼育されており、清掃は不定期に行われていた。野生動物公園の個体では3峰性の糞便虫卵数の推移パターンが見られ、6月に小さな上昇、10月にピークがあり、そして2月に小さな上昇があったが、これは草地の感染子虫が主な感染源であることを示している。さらに、4月と7月にフェンベンダゾールによる通常の駆虫を行ったところ、虫卵の排泄は抑えられたが、再感染がすぐに見られた。2頭のヘラジカと1頭のトナカイでは、虫卵数の増加に伴って糞便が柔らかくなり、食欲が低下した。アカシカ1頭とエルク3頭の剖検では、Spiculopteragia spiculopteraTrichostrongylus spp.Nematodirus filicollisCapillaris spp.Oesophagostmum radiatumTrichuris spp.3属および3種の線虫が回収され、その総数は950から8,700であった。

 

キーワード: シカ科(Cervidae)、消化管線虫(gastrointestinal nematodes)、Oesophagostomum radiatumSpiculopteragia spiculopteraTrichuris spp.、動物園(zoo

 

 

メキシコシティー境界内の2自然保護区において野生化した哺乳類が野生動物の感染症予防に果たす役割

The Role of Feral Mammals on Wildlife Infectious Disease Prevention in Two Nature Reserves within Mexico City Limits

 

Gerardo Suzán, D. V. M., , and Gerardo Ceballos, Ph. D.

 

479~484ページ

 

要旨: 野生種および野生化した中型哺乳類を、メキシコシティー境界の2ヵ所の自然保護区で生きたまま捕獲し、イヌおよびネコで最もよく見られる感染症(狂犬病、トキソプラズマ症、および犬パルボウイスル)の抗体保有率を調べた。動物は、1996から1997年の乾季(3月から4月)および雨季(7月から8月)に罠により捕獲した。オポッサム(Didelphis virginiana)、リングテール(Bassariscus astutus)、セイブマダラスカンク(Spilogale gracilis)、イタチ(Mustela frenata)、カワリイワジリス(Spermophilus variegatus)、アカハラハイイロリス(Sciurus aureogaster)、ノネコ(Felis catus)、およびノイヌ(Canis familiaris)の868頭が捕獲され、パルボウイルスに対して際立った抗体保有率(86.6%)を示したが、トキソプラズマ(23.9%)や狂犬病(17.9%)の両者については低い保有率であった。異なる2ヵ所の動物間で抗体保有率に明らかな差は見られなかったが、2ヵ所とも保護区域であるものの、その面積と隔離程度は相対するものであった(狭くて隔離されている、広くて隔離されていない)。野生動物において、これら3感染症病原体の抗体保有率が高いことは、検体採取した2地域でノイヌおよびノネコの生息密度が高い結果であると示唆される。その広さや隔離程度によらず、ノイヌは保護地域に感染病原体を存続させうるが、狭小で隔離された保護区に見られる固有哺乳類は、その個体群サイズと遺伝的ボトルネックのために感染症に対して脆弱である。これらの結果は、メキシコシティーおよびその周辺の自然地域は潜在性感染病原体の退避地であることを示し、そのいくつかは人獣共通感染症である。これらのことから、保護地域およびその周辺における野生化した哺乳類の根絶やワクチン接種プログラムなどの保全策は有益かもしれないことが示唆される。

 

キーワード: 野生化した(feral)、哺乳類(mammals)、メキシコ(Mexico)、パルボウイルス(parvovirus)、狂犬病(rabies)、トキソプラズマ(Toxoplasma

 

 

1993年から2002年にワイルドライフ・センター・オブ・ヴァージニアに収容された猛禽における銃創の発生率の低下と季節変動

Decreasing Prevalence and Seasonal Variation of Gunshot Trauma in Raptors Admitted to the Wildlife Center of Virginia: 1993-2002

 

Jean Richards, B.A., Adrienne Lickey, D.V.M., and Jonathan M. Sleeman, Vet.M.B., Dipl. A.C.Z.M., M.R.C.V.S.

 

485~488ページ

 

要旨: 1993年から2002年にワイルドライフ・センター・オブ・ヴァージニアに収容された猛禽において、銃創に関係する疾病原因を特定するために遡って調査を行った。収容された3,156羽の猛禽のうち、15118羽(3.7%)において銃創が主要な疾病および死亡原因であった。主な種は4種で、アカオノスリ(Buteo jamaicensis; 47%)、カタアカノスリ(Buteo lineatus; 14%)、ヒメコンドル(Cathartes aura; 10%)、ハクトウワシ(Haliaeetus leucocephalus; 8%)であった。調査期間中に40個体以上が収容された種では、全疾病原因および死亡原因に占める銃創の割合は1%未満から11%の範囲であった。銃創で収容された猛禽数は、春および夏(25%)に比べて秋および冬(75%)の方が多かった。期間中に収容された全猛禽における銃創例の絶対数の月別分布、および月別収容猛禽数の全合計に対する銃創例の割合は、ヴァージニアの猟期と相関していた。調査した期間にわたって、年間銃創例数の明らかな減少が見られた。これらの種において、銃創の個体群レベルでの影響は知られていないが、他の疾病および死亡原因に比べて重要ではないと思われる。

 

キーワード: 銃創(gunshot trauma)、罹患率(prevalence猛禽(raptors)、季節的影響(seasonal effect)、ヴァージニア(Virginia

 

 

アメリカシロヅル(Grus americana)における労作性筋障害と予後ガイドライン

Exertional Myopathy in Whooping Cranes (Grus americana) with Prognostic Guidelines

 

Christopher S. Hanley, D.V.M., Nancy J. Thomas, D.V.M., M.S., Dipl. A.C.V.P., Joanne Paul-Murphy, D.V.M., Dipl. A.C.Z.M., and Barry K. Hartup, D.V.M., Ph.D.

 

489~497ページ

 

要旨: 3羽のアメリガシロヅル(Grus americana)が、日常的な捕獲、ハンドリング、および外傷から二次的に労作性筋障害を発症した。労作性筋障害との推定診断は、最近の捕獲または外傷の有無、臨床症状、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、クレアチンキナーゼ、乳酸脱水素酵素、血清カリウム各値の上昇に基づいた。各症例で治療を試みたが、最終的には成功しなかった。剖検時の肉眼的および顕微鏡的病巣観察から、各症例において脚の筋肉が最も重度に冒されていたことが認められた。これらの症例や他の文献にみられる症例の分析に基づいて、ツルにおける労作性筋障害の予後を決めるガイドラインが包括されてきた。治療は概して成功しないため、現在でも予防が労作性筋障害のコントロールの鍵である。誘発因子の特定や、適切なハンドリング、不動化、および輸送の技術が、ツルにおける労作性筋障害の発症予防に役立つだろう。

 

キーワード: 労作性筋障害(exertional myopathy)、捕獲(capture)、ストレス(stress)、アメリカシロヅル(whooping crane)、Grus americana

 

 

飼育アラビアオリックス(Oryx leucoryx)に見られたXY雄仮性半陰陽

XY Male Pseudohermaphroditism in a Captive Arabian Oryx (Oryx leucoryx)

 

Luis R. Padilla, D.V.M., Christopher J. Dutton, B.V.Sc., M.Sc., Joan Bauman, Ph.D., and Mary Duncan, B.V.M.S., Dipl., A.C.V.P.

 

498~503ページ

 

要旨: 2歳のアラビアオリックス(Oryx leucoryx)が、異常な外性器および幼獣的な行動を検査するために持ち込まれた。そのオリックスには陰茎および陰嚢は存在したが、陰嚢内あるいは鼠径管内に精巣は触診されなかった。本個体の総血清テストステロン値は、同種同年齢の雄よりも低かった。外科的診査では、発育不全が顕著である腹腔内性腺が見られ、組織学的検査では精巣および子宮組織の両者が認められた。核型分析の後、本個体はXY雄仮性半陰陽体と診断された。本例は、ヒトに見られる2種の間性症候群である胎児精巣退化症候群および部分的性腺発育不全症候群に類似しているが、その発生は家族性である。

 

キーワード: アラビアオリックス(Arabian oryx)、Oryx leucoryx、仮性半陰陽(pseudohermaphroditism)、性分化(sex differantation)、間性(intersex

 

 

チョウザメ(Acipenser oxyrinchus desotoi)におけるDiplostomum sp.に起因する白内障の外科的除去

Surgical Removal of Cataracts due to Diplostomum sp. in Gulf Sturgeon (Acipenser oxyrinchus desotoi)

 

Robert S. Bakal, D.V.M., M.S., Brain H. Hickson, B.S., Brian C. Gilger, D.V.M., M.S., Dipl. A.C.V.O., Michael G. Levy, Ph.D., James R. Flowers, Ph.D.. Lester Khoo, V.M.D., Ph.D.

 

504~508ページ

 

要旨: 6歳(1995年生まれ)のチョウザメ(Gulf sturgeon, Acipenser oxyrinchus desotoi20頭が、両側性白内障と診断された。2個体の水晶体の組織学的検査によりDiplostomum属の吸虫の存在が明らかとなった。薬剤による吸虫駆除は虫体を殺すには有効かもしれないが、水晶体へのダメージとその結果として起こる白内障は改善不能である。これらの個体は、その後の研究で自然環境における歩哨動物として使用されることになっており、できるだけ正常に近い視力を取り戻す必要があった。各個体の眼について網膜電図を取り、網膜機能が認められるかを確認した。白内障は水晶体乳化吸引術によって外科的に吸引除去した。サメは外科的処置によく耐えた。本報告は、チョウザメ類における白内障の外科的補正として知られている限りで最初の報告である。また、野生復帰の予定がある魚類において視力障害の補正を試みたケースとしては、知られている限りで初めての報告でもある。

 

キーワード: Acipenser oxyrinchus desotoi、白内障手術(cataract surgery)、Diplostomum sp.、魚類(fish)、チョウザメ(Gulf sturgeon)、吸虫(trematode

 

 

ニシローランドゴリラ(Gorilla gorilla gorilla)におけるClostridium septicum筋炎

Clostridium septicum Myositis in a Western Lowland Gorilla (Gorilla gorilla gorilla)

 

Deidre K. Fontenot, D.V.M., Scott P. Terrell, D.V.M., Dipl.A.C.V.P., Michele Miller, D.V.M., Ph.D, Patricia K. Robbins, M.R.C.V.S., Mark Setter, D.V.M., Dipl. A.C.Z.M., Martha Weber, D.V.M., Dipl. A.C.Z.M.

 

509~511ページ

 

要旨: 同種による咬傷を受けた10歳の雄ゴリラ(Gorilla gorilla gorilla)が、急性に沈鬱、拒食、および右側不全麻痺を呈し、診察を行った。ゴリラは不動化して診断検査を行い、また壊死性気腫性の創傷感染から疑われる毒素性ショックに対する治療を実施したが、麻酔回復中の合併症により安楽死とした。肉眼的および組織学的検査では、創傷部において、壊死した筋線維間に大型グラム陽性桿菌を多数含んだ、急性壊死性の筋炎、筋膜炎、蜂巣炎、および気腫が明らかとなった。気道にフィブリンが含まれた重篤な肺水腫、体の複数箇所における急性出血、骨格筋・肝・肺の血管における血栓症、およびリンパ壊死と出血を伴うリンパ節過形成が見られた。創傷部の筋の免疫組織化学的蛍光抗体染色は、Clostridium septicumに陽性であった。

 

キーワード: α溶血毒(alpha toxin)、クロストリジウム筋炎(clostridial myositis)、Clostridium septicum、ガス壊疽(gas gangrene)、ゴリラ(gorilla)、Gorilla gorilla gorilla

 

 

若齢アフリカライオン(Panthera leo)において推定された一次性チアミン欠乏症

Presumed Primary Thiamine Deficiency in a Young African Lion Panthera leo

 

Cynthia L. DiGesualdo, D.V.M., John P. Hoover, M.S., D.V.M., Dipl. A.B.V.P., Dipl. A.C.V.I.M., and Michael D. Lorenz, D.V.M, Dipl. A.C.V.I.M.

 

512~514ページ

 

要旨: 筋肉のみを与えられていた1歳で未去勢の雄アフリカライオン(Panthera leo)が測定過大性の運動失調、全身性脱力、および前肢の強直間代運動を発現して検査を受けた。ヘモグロビン、血液生化学値、血中鉛濃度、心電図、レントゲン写真、および脳CTスキャンは正常であった。脳脊髄液の分析により、軽度の炎症が示唆された。アセチルコリン受容体抗体および全ての感染物質に対する血清学的試験は陰性であった。チアミン(3 mg/kg/day)の経口投与と栄養的に適正な飼料の給餌により、臨床症状は9日で完全に解消された。このライオンの治療前のチアミン値(11 nmol/l)は、健康なライオン(191 nmol/l)およびアフリカライオン成獣で提唱されている基準値(160~350 mnol/l)よりも明らかに低かった。このライオンは2年後の血中チアミン値が340 nmol/lを示し、臨床的に正常なままであった。アフリカライオンは、臨床的一次性チアミン欠乏症を発症しうるが、不可逆性のニューロン壊死発症前にチアミン投与および適正飼料の給餌を行えば好転するかもしれない。

 

キーワード: アフリカライオン(Africa lion)、Panthera leo、チアミン(thiamine)、運動失調(ataxia

 

 

ブチハイエナ(Crocuta crocuta)における多形性紅斑

Erythema Multiforme in a Spotted Hyena (Crocuta crocuta)

 

Christopher S. Hanley, D.V.M., Heather A. Simmons, D.V.M., Roberta S. Wallace, D.V.M., and Victoria L. Clyde, D.V.M.

 

515~519ページ

 

要旨: 10.5歳の雄ブチハイエナ(Crocuta crocuta)が、カナリア痘ベクターリコンビナント犬ジステンパーワクチン接種の19日後に、後四半部、足、顔、および耳に重篤な紅斑性潰瘍性皮膚炎を急性に発症した。病巣の生検は、抗原刺激の数日から数ヵ月後に起こりうる免疫介在疾患である多形性紅斑(EM)の診断を支持するものであった。長期にわたる回復期間中、合併症あるいは治療によって二次的に、食道逆流および食道潰瘍が見られた。食道の疾患はメトクロプラミド、スルクラフェート、オメプラゾール、および頻回給餌によって管理した。ジステンパーワクチンは、本種においてEMの誘因であると仮定される。

 

キーワード: 多形性紅斑(erythema multiforme)、ブチハイエナ(spotted hyena)、Crocuta crocuta、薬物反応(drug reaction)、犬ジステンパーワクチン(canine distemper vaccine)、カナリア痘ワクチン(canary pox vaccine

 

 

アメリカアナグマ(Taxidea taxus)の異常行動管理へのブスピロンとエンリッチメントの利用

Use of Buspirone and Enrichment to Manage Aberrant Behavior in an American Badger (Taxidea taxus)

                                                                                                

Laurie L. Gage, D.V.M.

 

520~522ページ

 

要旨: 飼育アメリカアナグマ(Taxidea taxus)の雌成獣が、その生涯にわたって周期的に発現する興奮と自傷を示した。最初、環境エンリッチメントにより異常行動を抑制したが、臨床症状が激化して、問題の完全には定期的なジアゼパムの使用が必要であった。増大する行動的な問題をジアゼパム治療によって効果的に管理できなかったときには、アザピロン系抗不安薬であるブスピロンによる代替療法を開始した。アナグマには18ヶ月にわたってブスピロン10mgを12回経口投与したが、その間望ましくない行動や顕著な副作用は見られなかった。

 

キーワード: アナグマ(badger)、行動(behavior)、ブスピロン(buspirone)、エンリッチメント(enrichment)、自傷(self-mutilation)、Taxidea taxus

 

 

タテガミオオカミ(Chrysocyon brachyurus)に見られた骨外性骨肉腫

Extraosseous Osteosarcoma in a Maned Wolf (Chrysocyon brachyurus)

 

Heather L. Reid, D.V.M., Sharon L. Deem, D.V.M., Ph.D., Dipl. A.C.Z.M., and Scott B. Citino, D.V.M., Dipl. A.C.Z.M.

 

523~526ページ

 

要旨: 6歳のタテガミオオカミ(Chrysocyon brachyurus)が右大腿外側の骨外性骨肉腫と診断された。生存中のX線検査により、骨に関与しない石灰化した腫瘤が明らかとなった。この腫瘤は切除したが、5週間以内に腫瘍の明らかな再発が認められた。切除した腫瘤には、組織学的検査およびp53腫瘍抑制遺伝子蛋白に対する染色を含む免疫組織化学検査を実施した。タテガミオオカミは最初の診断から13週間で安楽死に処した。腫瘍は、ワクチン接種を含む筋肉注射に通常使用する場所に見られた。明確な関連付けはできないが、その一方で、ワクチン接種部位の新生物は他種、特にネコ(Felis domesticus)で見られており、この関係に留意することは価値がある。

 

キーボード: Chrysocyon brachyurus、骨外性骨肉腫(extraosseous osteosarcoma)、タテガミオオカミ(maned wolf)、p53抑制遺伝子(p53 suppressor gene)、ワクチン接種部位の新生物(vaccine-site neoplasia

 

 

ウミガメの線維乳頭腫症の地理的変異

Geographic Variation in Marine Turtle Fibropapillomatosis

 

Rebecca J. Greenblatt, Ph.D., Thierry M. Work, M.S., D.V.M., M.P.V.M., Peter Dutton, Ph.D., Claudia A Sutton, Ph.D., Terry R. Spraker, D.V.M., Ph.D., Rufina N. Casey, Carlos E. Diez, Denise Parker, Judy St. Leger, D.V.M., George H. Balazs, M.S., and James W. Casey, Ph.D.

 

527~530ページ

 

要旨: 組織学、qPCR、および塩基配列分析に基づき、線維乳頭腫症の3例を報告する。形態学的に線維乳頭腫症と一致する腫瘍が、プエルトリコとサンディエゴ(カリフォルニア)のアオウミガメ、およびフロリダ湾(米国、フロリダ)のアカウミガメ/タイマイ交雑種に見られた。腫瘍は組織学的に線維乳頭種と確認されたが、疾病重度は症例により異なった。PCR分析により、細胞あたりのコピー数には大きな変異が見られたにもかかわらず、線維乳頭腫関連カメヘルペスウイルス(FPTHV)への感染が全症例で明らかとなった。線維乳頭腫関連カメヘルペスウイルスの各分離株から得られたポリメラーゼ遺伝子の部分配列には、その構造に地理的変異が見られた。これらの症例は、線維乳頭腫症の病理学的およびウイルス学的な地理的変異を説明するものである。

 

キーワード: Chelonia mydas、線維乳頭腫症(fibropapillomatosis)、アオウミガメ(green turtle)、ヘルペスウイルス(herpesvirus

 

 

ベンガルトラ(Panthera tigris)に見られた胸腺カルチノイド

A Thymic Carcinoid in a Bengal Tiger (Panthera tigris)

 

Joshua Powe, B.V.Sc., M.Vet.Stud., William Castleman D.V>M., Ph.D., Dipl. A.C.V.P., and Christine Fiorello, D.V.M., Ph.D.

 

531~533ページ

 

要旨: 18歳のベンガルトラ(Panthera tigris)が後肢麻痺を急性に発症した。X線写真および超音波画像により、腹大動脈後部の血栓および頭側縦隔の腫瘤が明らかとなった。剖検では、大動脈血栓症が確認された。また、壊死性腸炎および多発性腎血栓症もみられた。頭側縦隔には二葉の腫瘤がみられ、組織学的および超微細構造的にカルチノイドと一致するものであった。

 

キーワード: カルチノイド(carcinoid)、Panthera tigris、胸腺(thymus)、トラ(tiger

 

 

骨盤内子宮平滑筋腫による遠位結腸の圧迫に起因するヒョウ(Panthera pardus)の慢性便秘

Chronic Obstipation in a Leopard (Panthera pardus) Caused by Intrapelvic Uterine Leiomyoma Compression of the Distal Colon

 

Jessica L. Siegal-Willott, D.V.M., Todd Henrikson, D.V.M., James W. Carpenter, M.S., D.V.M., Dipl. A.C.Z.M., and Gordon A. Andrews, D.V.M., Ph.D., Dipl. A.C.V.P.

 

534~537ページ

 

要旨: 6歳の雌ヒョウ(Panthera pardus)が4ヶ月にわたる慢性便秘を示して診察を受けた。X線検査、超音波検査、およびCTスキャンによって、骨盤内腫瘤が遠位結腸を圧迫していることが明らかとなった。術後管理が困難なことから、オーナーは安楽死を望んだ。剖検時に、3×5×10 cmの腫瘤が子宮体に生じていることが分かった。この腫瘤の組織病理学的評価により、子宮平滑筋腫であることが明らかとなった。本症例報告は、便秘を引き起こした大型ネコ科動物の子宮の腫瘍を記録したものである。さらに、診断、予後および治療の選択肢を示すための画像診断技術について、その価値と限界について議論している。

 

キーワード: Panthera pardus、ヒョウ(leopard)、便秘(constipation)、子宮平滑筋腫(uterine leiomyoma

 

 

飼育ホッキョクオオカミ(Canis lupus arctos)に見られた扁桃のTP53発現性扁平上皮癌

TP53 Expressing Squamous Cell Carcinoma of the Tonsil in a Captive Polar Wolf (Canis lupus arctos)

 

Jens P. Teifke, Dr. Med. Vet. Habil., PD, Dipl. A.C.V.P., Christiane V. Löhr, Dr. Med. Vet., Ph.D., Dipl. A.C.V.P., and Christoph Langner, D.V.M.

 

538~542ページ

 

要旨: 11歳の雄の飼育ホッキョクオオカミ(Canis lupus arctos)に見られた一次性扁桃扁平上皮癌の、肉眼的および組織病理学的所見について報告する。癌は、咽頭の局所リンパ節、心膜縦隔、および肺に転移していた。免疫組織化学検査では、原発腫瘍および転位病巣の分化の乏しいサイトケラチン陽性細胞の核において、腫瘍抑制蛋白TP53が検出された。犬口腔パピローマウイルスDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応法によって検出されなかった。

 

キーワード: Canis lupus arctos、免疫組織化学(immunohistochemistry)、転移(metastasis)、ホッキョクオオカミ(polar wolf)、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)、扁桃(tonsil

 

 

アメリカクロクマ(Ursus americanus)に見られた咽頭扁平上皮癌

Laryngeal Squamous Cell Carcinoma in a North American Black Bear (Ursus americanus)

 

David S. Rotstein, D.V.M., M.P.V.M., Dipl. A.C.V.P., Pamela Govett, D.V.M., and Barbara Wolfe, D.V.M., Ph.D., Dipl. A.C.Z.M.

 

543~545ページ

 

要旨: ノースカロライナ動物園の10歳の雌のアメリカクロクマ(Ursus americanus)が、2週間にわたって断続的な咳と喘鳴を示した。クマを検査のために麻酔したところ、挿管時に扁桃および喉頭に付随した大きな腫瘤が気道を塞いでいるのが見られた。処置中に心肺虚脱が起こり、蘇生を試みたが効果はなかった。剖検では、8 cm×6 cm×5 cmの腫瘤が喉頭に見られ、喉頭蓋に浸潤して気道を塞いでいた。局所リンパ節は軽度に肥大し、褐色の濃縮した物質を含んでいた。組織学的には、腫瘍は角化扁平上皮の病巣から成り、リンパ管侵襲および局所リンパ節への転移の徴候が見られた。

 

キーワード: アメリカクロクマ(North American black bear)、Ursus americanus、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)、喉頭(larynx

 

 

初生ローンアンテロープ(Hippotragus equines cottoni)に見られた肝内門脈体循環短絡

Intrahepatic Portosystemic Venous Shunt in a Neonatal Roan Antelope (Hippotragus equines cottoni)

 

Brad A. Lock, D.V.M., Dipl. A.C.Z.M., Scott B Citino, D.V.M., Dipl. A.C.Z.M., and Audrey Pickup, C.V.T.

546~549ページ

 

要旨: 6日齢の雌のローンアンテロープ(Hippotragus equines cottoni)が、剖検時に単一肝内門脈体循環短絡と診断された。臨床症状は、衰弱、嗜眠、低体温、下痢、および弱い吸乳反応などであった。多発性痙攣の発現は低血糖と関係しており、発声、筋攣縮、および見当識障害によって特徴付けられるものであった。血液学的異常には、血色素減少、赤血球不同、および変形赤血球増加を伴う貧血、好中球とリンパ球の減少を伴う白血球減少が含まれた。血清生化学的異常は、血中尿素窒素および血清総胆汁酸濃度の上昇などであった。門脈全身血管異常は、顕著なあるいは軽微な神経症状や持続性の低血糖または/あるいは胆汁酸の上昇を示す活力のない外来反芻獣の仔において、鑑別診断が必要である。非常に若齢の個体では、血中アンモニア濃度よりも総胆汁酸濃度の方が診断には有効かもしれない。

 

キーワード: アンモニア濃度(ammonia)、胆汁酸(bile acids)、Hippotragus equines cottoni、門脈全身静脈短絡(portosystemic shunt)、ローンアンテロープ(roan antelope

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